漢方の原型は紀元2世紀頃の中国で成立したと言われていますが、日本に本格的な漢方医学が根付いたのは16世紀以降です。室町時代に明の医学が伝わり、江戸時代に鎖国の影響もあって日本独自の発展をしたそうです。江戸後期に広まったオランダ医学「蘭方」に対して今まであった医術を「漢方」と呼びました。このように漢方は日本独自の伝統医学なのです。
では漢方で使われる、漢方薬とはどのような薬でしょうか。 漢方薬はいくつかの生薬(しょうやく)を決められた分量で組み合わせて作られた薬です。生薬は化学的に合成されたものではなく天然物そのもの、あるいは蒸したり、焼いたりといった簡単な加工をしたものをいい、イメージとしては草の根っこや茎、木の皮や実などです。それぞれの生薬が多くの有効成分を含んでいるので、いろいろな生薬を組み合わせた漢方薬は、ひとつの薬でもさまざまな作用を持ち、複数の病気や症状にも効果があります。例えば風邪薬として有名な葛根湯は、肩こり、じんま疹、乳腺炎などにも効果があります。葛根湯はくずの根っこやシナモン、ナツメや生姜などの7種類の生薬で構成されていて、それぞれの生薬の相互作用で効果を発揮します。このように漢方薬は生薬のハーモニーなのです。
これに対して、西洋薬は化学合成されたもので有効成分が単一です。菌を殺したり、熱や痛みをとる、血圧を下げるなど一つの症状や病気に対して強い効果があります。
このように漢方医学と西洋医学では使う薬も異なっており、それぞれ別の医学です。イメージとしては、西洋医学は病気の原因を調べてそれをピンポイントに治療し、漢方医学は症状から身体の不調和を見つけ全体を整えて治療します。どちらが良いかではなく、それぞれに得意、不得意分野がある、別の医学なのです。