漢方薬には生薬を水から煮出して煎じた湯(とう)、生薬を粉状にした散(さん)、有効成分を抽出した固形・半固形薬のエキス剤、生薬の粉末を蜂蜜などで丸めた丸(がん)などの剤型があります。それぞれの特徴と飲み方について解説しましょう。
湯(とう)
生薬を水から煎じたもの。漢方薬の名前に「○○湯(とう)」と入っているもの。例えば葛根湯は葛根、麻黄、桂皮、芍薬、生姜、大棗,甘草などの複数の生薬が配合され、これらを湯で煮出したものです。
湯の漢方は、名前の通り、お湯に溶かして飲みましょう。お湯に溶けない沈殿物も一緒に飲んだ方がよいため、よく混ぜて服用します。冷たい水などで摂ると十分に効果が発揮しない場合があります。
ただし、吐き気などがある場合は、湯気がある温かいものに対して嘔吐が促されてしまうことがあります。その場合には漢方薬を溶かしたものを冷やして服薬すると良いでしょう。
散(さん)
生薬が粉にしたもので、例えば五苓散などの○○散という名前です。そのままお湯で飲みましょう。
特殊な飲み方として漢方薬の中に、お酒で飲むとされているものがあります。一例は当帰芍薬散ですが、歴史のある漢方医学の書である『金匱要略』に記載があります*3。当帰芍薬散は、体力が少し低下した成人女性で、倦怠感、手足の冷え、頭痛、めまい、無月経、月経過多などの月経異常のある証に対して処方されることが多い漢方薬です。この当帰芍薬散は、少し温めた日本酒少々で服薬することで効能が得られやすいという記載があるようです。
もちろん当帰芍薬散を白湯で飲んでも効果が劇的に下がるというわけではなく、あくまで飲みやすくするための工夫です。ちなみに漢方医学の中では適量の酒も治療の一種という考え方のようです。
他の特殊な飲み方の例として、喉の乾き、尿量減少などに対して処方されることの多い五苓散は、おもゆ(大量の水分でよく似た薄い粥のうわずみ)で服用するという方法もあります。
エキス剤
エキス剤は複数の生薬を煎じた液を乾燥し粉末化したものです。エキス剤にも顆粒、粉末(散)、カプセルなどの製剤がありますが、そのまま飲むと飲みにくいため、お湯に溶いて服薬します。お湯に溶かすことで、煎剤と同じように漢方薬特有の香りが出て、効能も上がると考えられています。実は漢方薬の香りにも、胃などの消化管運動を改善し胃酸の分泌を促進することが確認されています。
丸(がん)
丸剤は蜂蜜などで固めてあるので、そのまま噛んだり舐めたりせずに服薬します。常温で溶けやすいので、冷蔵庫保存して、飲む直前に出して服用しましょう。
丸薬の中でも中年以降の特に高齢者の加齢に伴うだるさ、しびれ、下肢痛、腰痛などに効果のある八味地黄丸も酒で飲むことが『金匱要略』に記されています。少量のお酒で飲むことで、胃もたれを少なくすると言われています。